神様がくれた虐待 ~あなたの心の傷が治るまで~最終話 前半

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行かなければならない場所

僕はすぐさま新幹線に飛び乗り、実家に向かいました。

数年ぶりに訪れた実家は相変わらずボロボロで、玄関のチャイムを鳴らすと
元気よく犬が吠えながら出むかえてくれるところまで、
何ひとつ変わってはいませんでした…

 

 

僕は4匹いた犬の内、1匹がいなくなっていることに気が付きました。

「もうかなりの歳だったからね・・・。最近、だんだん弱ってきてて。
お母さんが「お風呂に入ってくるからね」と言ったときに「クゥン」と
寂しそうに泣いた声が忘れられんよ…。お風呂から上がったときには
もう息を引き取ってしまっていたから・・・

遠くで仕事を頑張っているあんたに心配かけたくなかったから、連絡も
しなかったよ。ごめん。。。
でね、あの子のお葬式だけはちゃんとしてあげたいと思ってね、3万円
かかったけど、どうしてもしてあげたくて。」

・・・

「そっか…。」

3万円。母のわずかな収入、そしてこの家の状態を考えると、3万円という
お金をポンと出せるような余裕などどこにも無いのに・・・

思えば、僕の母親は昔からそうでした。
自分の食べるものや着るものを我慢してまで犬に愛情を注ぐところは、
昔から尊敬している部分です。

僕に電話してくれればお金だって出してあげられたのに、それをせず
自分の生活を切り詰めて愛した犬を弔(とむら)った母のことを、
僕は息子ながら立派だと思いました。

ねぇ母さん。俺のこと、愛してる?・・・

まさか自分の人生でこんなセリフを吐くことになるとは思いませんでした。

僕の言葉を耳に受け止めた母の顔は一瞬とまどい、そして。

子どもの頃、少しだけ見せてくれた世界で一番、落ち着く笑顔。

振り返れば、その笑顔がもっと欲しいと思ったことが僕の全てのスタートだったように
思います。

手に入らないものだったからこそ、寂しかったし、いっぱい傷ついたけど、
だからこそ頑張れた面もある。

「愛してるよ。ねぇ、覚えてる?あんたが5歳のとき・・・」

後半へ続く

だんご鼻専門セラピストnob

21002

 

 

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